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20201123 アルマゲドンの夢

新国立劇場で藤倉大さんの世界初演のオペラ『アルマゲドンの夢』を観てきました。現代オペラの生公演へ行くのは初でしたが、不安で満ちていて大きな声に煽動されやすくなっている今の社会に響く作品でした。歌と音楽にカタルシスは無いものの、不協和音でヒリヒリする緊張感が堪りませんでした。

↓オペラ概要はこちら

https://www.nntt.jac.go.jp/opera/armageddon/
アルマゲドンの夢[新制作 創作委嘱作品・世界初演]


新国立劇場へ来るのは10年半ぶりでした。前回はワーグナーの『神々の黄昏』。

藤倉大さんは(少なくともクラシック業界では)大注目されている作曲家。今年はDOMMUNEの湯山玲子さん爆クラ回で出演していたので見た人もいるのでは?
現代の作曲家の割にはクラシックコンサートで取り上げられることが多く、聴いた中で好きな曲は「ソラリス」、あの有名なSF小説を題材にした曲です。オペラ版が本家ですが日本未演なのでどこか取り上げてくれないかな…。
そんな藤倉さんがオペラ新作を日本初演、題材はウェルズの小説、そして何よりオペラを生で観たい!ということでチケットを買ってしまいました。

上演時間は1時間40分の一本勝負とオペラにしては短め。

内容はかなり社会派。主人公が日和見主義で気付いたら何もかも失ってしまい、その恋人ベラは自由を求める闘いに身を投じるが銃弾で命を落としてしまい、若者たちは煽動されて画一的な兵士になってしまう。
どういう解釈をすればよいのか悩むセリフも多く、観客を喜ばせてスッキリさせるのではなく考えさせる作品。演劇に近い印象でした。

演出で印象に残ったのが色。
ダンスホールでの若者たちは色とりどりの服を着ているのに、煽動されて兵士になるとみんな同じ白一色。舞台上に大きな鏡も出てきて姿が増幅されるのが不気味。
一方で自由のために闘うベラはずっと赤系の衣装。目立つ。ベラが死んだらモノクロの色褪せた世界になってしまうんですね…。


音楽面は不安を煽って解決に至らない不協和音だらけ。弦のヒリヒリする音や金管がぶつかり合う音などで登場人物の心理をダイレクトに表現していました。聴いてる方も疲れてきました。
それだけに協和音が出てきた場面が目立ちました。特に、主人公と恋人が不安を一瞬忘れて将来の愛を歌うシーンが印象的。曲想は違いますが、ミュージカル『ウエストサイドストーリー』の「Somewhere」のシーンを連想しました。その後に悲劇が待っているという共通点もあるし。

これまで観てきた"古典的な"オペラだけがオペラじゃないと体感できた公演でした。
もちろん楽しいオペラは大好きですが、たまにはこういう考えさせられる作品も観ていきたいです。
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(※写真は神奈川県民ホール公演の写真より引用)

名古屋でオペラ『カルメン』を観てきました。
先月の横浜での公演と同じ歌手陣と演出。
舞台は現代のミュージカルに置き換え、音楽や歌詞は原作通りという斬新すぎる演出にビックリ。
そう来るか!とツッコミながら楽しく鑑賞していました。
歌手の皆さんも歌いながら動くし踊るし!
まさかエスカミーリョの「闘牛士の歌」でラインダンスが始まるとは。
一般的な演出では未見なので、観比べてみたいです。

歌手陣は何と言ってもカルメン役のアグンダ・クラエワさん!
歌声も容姿も兼ね備えた堂々たる主演でした。

●メンバー
指揮:ジャン・レイサム=ケーニック
演奏:名古屋フィル

演出 : 田尾下哲

カルメン:アグンダ・クラエワ
ドン・ホセ:城宏憲
エスカミーリョ:与那城敬
ミカエラ:嘉目真木子
他多数

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2017年の聴き納めはバスティーユの新オペラ座で「ラ・ボエーム」
舞台を19世紀のパリから、まさかの宇宙船に置き換えるという斬新すぎる演出。
男たちが宇宙空間で物資が尽きて生きる見込みが無くなり、地球にいた頃の記憶を思い出す、という感じの設定。
ホールの音響、一番後ろの中央エリアでしたが、細かい音も良く聴こえました。良いホールです。

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幕間では大晦日なので振る舞いシャンパン!
お代わり自由だったので調子に乗ってグイグイ飲んでいました(^^)
おつまみもケーキもマカロンも登場といたせり尽くせり♪
後半は非常に良い気分で鑑賞しておりました。
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●メンバー
指揮:Manuel López-Gómez
演出:Claus Guth

ミミ:Nicole Car
ムゼッタ:Aida Garifullina
ロドルフォ:Benjamin Bernheim
マルチェロ:Artur Ruciński
ショナール:Andrei Jilihovschi
コルリーネ:Roberto Tagliavini
アルチンドロ:Marc Labonnette
パルピニョール:Antonel Boldan


演奏:パリオペラ座管弦楽団
合唱:パリオペラ座合唱団

ばらの騎士パンフ1

ばらの騎士パンフ2


オケや室内楽だけじゃなく、たまにはオペラを聴きたい!
昨年は「魔笛」でしたが、今年は「ばらの騎士」に。
今年度の東海でのクラシック公演で1番楽しみにしていました!
「組曲」は実演(ゲッツェルさん&神奈川フィル)で名演を聴いてて、オペラもずっと気になっていたので、ようやく実現しました。

予習は音楽は敢えてほとんど聴かず、背景はおさえておこうと本でしっかり。
岡田暁生さんの本は3冊読んでましたが、博士論文が「ばらの騎士」だったとは知りませんでした。
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●メンバーと曲目
指揮:ラルフ・ワイケルト
演出:リチャード・ジョーンズ

元帥夫人:森谷真理
オックス男爵:大塚博章
オクタヴィアン:澤村翔子
ファーニナル: 清水勇磨
ゾフィー: 山口清子
他多数

合唱:二期会合唱団
オーケストラ:名古屋フィル



全3幕の長丁場ながら、色彩豊かで、優雅で、コミカルだったり、メランコリックだったりとあっという間でした!
細々した展開のドラマを、R.シュトラウスの音楽がとにかく雄弁に包み込む。
すっかり夢見心地に。


※予習本の岡田暁生『オペラの終焉』より引用。
「ジングシュピール風の素朴なメルヘンあり、オペラ・ブッファのしゃれた笑いあり、ワーグナー楽劇の圧倒的な響きの官能あり、ヨハン・シュトラウス顔負けのワルツの大サービスあり、イタリア風カンタービレあり、オペレッタお得意の感傷とロマンあり。
…「オペラ」というものの一番おいしいところだけを集めて作ったのがこの作品なのである」(P263)

これだけの要素が詰め込まれていたら、そりゃ飽きずにあっという間に終わりまで聴き入ってしまいますね

まず何より、名古屋フィルの皆さんが本当にお疲れ様です。
長丁場にも関わらず最後までしっかりしていたのがさすがです。体力が無いオケだと最後ヘタってくるので…。
特にホルンが大活躍!
オクタヴィアンのテーマとか出番多すぎ。首席の安土さんをはじめとしてブラボーです。


歌手陣では、元帥夫人の森谷さんとオックスの大塚さん!
さすがの存在感のお2人。

森谷さんは昨年の「魔笛」でのパミーナでこの人は何者だとチェック、夜の女王より存在感があったような。
そんなお方の元帥夫人が気になったので日曜公演を選択。
パミーナの時は娘の役でしたが、個人的には今回の気品あふれる元帥夫人の役の方が合ってる気がしました。
このオペラの“貴”と“俗”の“貴”を見せつける大役ですが、堂々と演じ切っていました。
最後の有名な三重唱でもしっかり声が聴こえて、文字通りセンターを張ってました。この場面は思わず背筋をピンとして聴き入ってしまいました。

大塚さんはたぶん今回初めて歌声を聴きましたが、落ち着く声で良かったです。
“俗”担当の影の主役で、しかも男声は実質1人だけなのでここが崩れるとどうしようもないのですが、しっかり屋台骨を支えていました。
二期会のblogでご本人いわく「このオックスはバスの役の中で、世界一難しい役だと思いました。ドイツ語の言葉は多いし音符も多い。そして早いし歌いっぱなし。音域も3オクターブ近く使う」だそうです。
[http://www.nikikai21.net/blog/2017/04/7_11.html]
歌だけでなくコミカルな演技もステキでした。
「ラララ~♪ラララ~♪」

そして、ポップな舞台がオシャレ!
デザインがいいし、照明の色がどんどん変わって登場人物の心理の変化が反映されるのも面白かった。
いつも美術鑑賞で使っている単眼鏡が大いに役に立ちました(^^)

ただ、客席に空席が目立ったのが残念…。
終演時の元帥夫人とオックス男爵への拍手の音量が寂しかったです。
キャスト違いとはいえ2日連続だったためでしょうが、もったいない話です。


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モーツァルトのオペラ「魔笛」を観てきました!
芸術祭であるあいちトリエンナーレがプロデュースするという珍しいタイプの公演。

猫町藝術部の一員として参加です。
事前に、鈴木淳史さんのレクチャーを聞いてから、いざ会場の愛知県芸術劇場へ!
あいちトリエンナーレのプロデュース企画だからか、老若男女さまざまな観客が集まっていました。
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●メンバー
演出・美術・照明・衣裳: 勅使川原三郎

指揮:ガエタノ・デスピノーサ
管弦楽: 名古屋フィル

賢者ザラストロ:妻屋秀和
鳥刺しパパゲーノ:宮本益光
王女パミーナ:森谷真理
王子タミーノ:鈴木准
夜の女王:高橋維
弁者&神官Ⅰ:小森輝彦
恋人パパゲーナ:醍醐園佳
侍女Ⅰ:北原瑠美
侍女Ⅱ:磯地美樹
侍女Ⅲ:丸山奈津美
従者モノスタトゥス:青栁素晴
神官Ⅱ:高田正人
武士Ⅰ:渡邉公威
武士Ⅱ:小田桐貴樹
童子Ⅰ:井口侑奏
童子Ⅱ:森季子
童子Ⅲ:安藤千尋

ダンサー&ナレーション:佐東利穂子

ダンサー:東京バレエ団
合唱: 愛知県芸術劇場合唱団

[※舞台の写真は、名古屋フィルtwitter、ぶらあぼhttp://ebravo.jp/archives/29017、から引用させていただきました]

幕が開いて、まず目を惹いたのが、シンプルな舞台セット。
モノクロな空間にリングがいくつか宙に浮いているだけ。場面の展開ごとに動くだけ。(ビッグサイズのリングも1度登場しましたが)

↓こんなの
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だいぶ節約したなーとは思ったのは事実ですが(笑)、「魔笛」という教訓的・社会的なメッセージが強いオペラを、ここまでシンプルな舞台にしてしまうのはかなり勇気が必要だったことでしょう。
イマドキの演出だと、舞台を現代に置き換えちゃったりして、ザラストロをうさんくさい人にしたりと、いくらでも演出家の主張を押しつけがましくできそうなので。
私は、シンプルな方が好きです。

そして、これは"日本的"な演出だと思いました。
能舞台がセットを全く変えずに、寺や宴の場や夢の世界になったりするように、今の舞台が鳥刺しがいる森なのか、僧侶がいる寺院なのか、試練の岩山なのか、観客の想像力に委ねてしまう。

また、「これは何だろう?」と考えさせる点では現代芸術、例えばあいちトリエンナーレの作品群にも通じるものを感じました。
何しろ、港芸術監督は、「あいちトリエンナーレの120番目のアーティストが、モーツァルトです。」とおっしゃっているので。
見ただけで笑ってしまうモノスタトゥスの奇怪な姿、モノクロの世界の中でなぜタミーノは赤、パミーナは青の色なのか、などなど深読みしたくなるところだらけでした。


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この観客に主張を押し付けない方針は、大胆なナレーション構成にも感じました。
原作ではたくさんあるドイツ語のセリフ部を大胆にカットし、日本語のナレーションで要約してしまうので、サクサク物語が進みます。
[※当日の劇場での案内は、第1幕:60分、第2幕:75分。ちなみに1月に新国立劇場での上演では、第1幕:70分、第2幕:85分だったそうです。]
初鑑賞でもあらすじを追いやすい反面、ダイジェスト版のようになって軽くなってしまうという面も。
ちょっとやりすぎ?


さて、歌手陣ではまずパパゲーノの宮本益光さん!
コミカルな場面でもシリアスな場面でも切り替えて歌いこなす表現力が素晴らしかった!
その表現を、舞台上を鳥のように縦横無尽に飛び回りながら、ノリノリで楽しそうに歌いこなしていました!
こういうの好きそう。

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最初の「俺は鳥刺し」の「ホイサッサ♪」から最後の「パパパパ♪」まで、「魔笛」のムードメーカー役として、オペラ全体をまとめていました。
個人的に、日本のバリトン歌手でトップ2に入る方なので、期待通り!


そして、パミーナの森谷真理さん!
失礼ながら存じ上げない方でしたが、なぜこれほどの歌い手がノーチェックだったのか!
自分の浅学さを感じました…。
舞台から遠い4F席だったのに、しっかりと情感が伝わってくる歌声でした!
特に、第2幕でタミーノに捨てられたと思って歌う哀切あるアリア「愛の幸福は永遠に消えて」が良かったです。

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森谷さんは夜の女王役を何度もこなしているそうで、どおりで胸に迫る表現力があるわけだと思います。
今後は演奏会で名前がないかチェックすることにします。


そして、オペラの屋台骨を文字通り支えていたのが、ザラストロの妻屋秀和さん。
包容力があって温かみがある声がこの役にピッタリ。
夜の女王に短剣を渡されて打ちひしがれているパミーナに語りかける、超低音のアリア「この聖なる殿堂では」が特に印象的でした。
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指揮のデスピノーザさんと、オケの名古屋フィルは控えめな印象。
オペラだとバランス上こんなものなのでしょうか。
パパゲーノの曲で活躍したフルートソロは、名フィルの誰が吹いていたのでしょう?

場面がどんどん変わって全然飽きず、あっという間に終演でした!
とっかえひっかえコロコロ場面が変わるのに破綻しない音楽構成に、モーツァルトの天才性を実感することができました。
また、勅使河原さんの演出が話題のオペラでしたが、実演を観るのは初めてだったのもあり、変な固定観念を持たず純粋に楽しむことができました。
終演後の食事とお酒もおいしかった!
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ここまでシンプルにされると、かえって"普通"の「魔笛」も気になってきました。
機会があれば比較してみたいと思います。


syllable

Author:syllable
出身:横浜
在住:三重→兵庫→三重(現在)
クラシックを中心にジャズやJ-POPなどを聴いています。
神奈川フィルを応援してます!

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