2009 / 03
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音楽に限らず新書というのは持ち運びやすくしかも安価なので重宝してます。
不況だと新書が増えるらしいですが、種類が増えることは素直に歓迎しましょう。

ということで、第2弾。
かなり売れたらしいという、岡田暁生著「西洋音楽史」を。

西洋音楽史


私の音楽史の教科書的存在として活用させてもらっている本です。
“「事実」に「意味」を与えるのは、結局のところ「私」の主観以外ではありえない”
という著者の信念のもとで書かれているため、音楽史の「流れ」がよく分かります。
他の音楽本を読んでいて、「あれっ? これって何だっけ?」というものに出くわしたらこの本に戻ってきます。

特筆すべきは、ベートーヴェンやロマン派などのメジャーな時代と、ルネサンスや現代音楽などのマニアックな時代で、等しくページを割いていること。
前者については書きたいことがたくさんあるだろうに、よくこんなコンパクトにまとめられたなと思います。

面白いと思ったのは、音のハーモニーの変化。

中世は2つメロディーがあっても一緒に動いていたのが段々自由になっていき、
ルネサンスでは和音が重視されてくるようになり、
バロックでは通奏低音が旋律を支えているが、
古典派ではむしろ旋律の方が目立つようになる

…といった変遷が図で表され、しかもコンパクトな構成だからこそ変化が見えやすい。

また、マニアックな20世紀についても、なぜ「音楽史の発展の限界」となり、「西洋がそのヘゲモニー(支配権)を失っていった時代」であるかについても「ロマン派への決別

」と「再構築」をキーワードにまとめられています。


単独ではそれぞれ知っていることでも、「流れ」の中に位置づけるだけでやっとその本来の意味が分かってくる。
やたらもてはやされるロマン派だって音楽史ではあくまで一部分ですしね。
そんな事柄ばかりでした。
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コンサートだけだと時期によっては間が空いてしまいます。
そういう時はCDレビューをしてるという方はけっこういらっしゃいますが、あいにくそんなに自宅にCDはありません。
何かないかと思ったら、そういえば本はけっこう読んでいる方じゃないかと。

ということで、続くか分かりませんが、ボチボチ音楽本の感想でも書いていこうかと思います。


第1弾は、小方厚「音律と音階の科学-ドレミ…はどのようにして生まれたか」ブルーバックス

音律と音階の科学


ドレミはどのように決められたのか?
ピタゴラスからスタートして現在の音階までの変遷・発展を追っていきます。

理論の細かい整合性は分かりませんが、図を多用して視覚的に音律の理解を助けようという意欲が感じられました。
理系の学者であるということが良い方向に働いた結果ですね。
音階についてこういう読みやすい本は中々ないように思います。

面白いのは、筆者が音楽の専門家ではないからこそ持てる切り口。
1オクターブ上がるごとに音の周波数は2倍になるわけですが、ピアノの鍵盤は周波数の対数をとった数直線に対応する、というのはナルホドと思いました。
「今日のような鍵盤は遅くとも15世紀にはできていたが、対数が普及したのは17世紀以降である。数学で対数という概念が確立する以前に、音楽ではこれを先取りして鍵盤に対数目盛りを導入し、演奏を容易にしていたのだ。」とのこと。

「不協和度が低い」ということを物理の「ポテンシャル(位置エネルギー)が低い」と表現するのも、少なくとも理系の人間にとっては分かりやすい。

著者の趣味であるジャズにも触れ、音階は固定されたものではなく、絶えず試行錯誤が繰り返されてきたものであるという例も色々と示してました。


音階についての入門書として、興味ある事項を探すのには良い本だと思います。

長年神奈川フィルを引っ張ってきてくれた、偉大な巨匠シュナイト。
今回は音楽監督の勇退コンサートでした。
首席客演の時期も入れると、7年間神奈川フィルと付き合ってきたことになるとのことです。
プレコンは弦楽四重奏で、バッハ/二重協奏曲より第1楽章、でした。


●メンバーと曲目
指揮:ハンス=マルティン・シュナイト
演奏:神奈川フィル

ソプラノ:平松英子
メゾ・ソプラノ:加納悦子
テノール:小原啓楼
バリトン:青山貴

合唱:神奈川フィル合唱団


ブラームス/悲劇的序曲
ブラームス/哀悼の歌
ブラームス/運命の歌
ブルックナー/テ・デウム


4曲中3曲が合唱曲というかなり凝ったプログラム。そして渋い。
ほとんど馴染みがない分野です…。

最初はオケのみ。
シュナイトさんがグッと拳を突き出し、第1音でいきなり呑まれました。
やはり神奈川フィルの弦の響きは素晴らしい。
シュナイトさんもそれをよく分かっているのでしょう。
予想外にやる気まんまんの演奏で、1曲目にも関わらずブラヴォーも出てました。

合唱団がゾロゾロと登場し、続いて2曲は合唱曲。
やはり生だと合唱曲は違いますね。
厳かな雰囲気の哀悼の歌、緊迫した場面もある運命の歌。
合唱団の奮闘はもちろんでしたが、伴奏のオケのバランスも良かった。

そして、ラストの宗教合唱曲テ・デウムへ。
宗教曲は良く分かりませんが、それでもこれはすごかった!
オケ・独唱・合唱団・パイプオルガンが一体となって高揚していくコラールは凄まじい迫力。
かと思うと、ささやくような祈りのハーモニーがホールを満たす。
「音楽の力」ってやつを体で感じてしまいました。
これだけの曲をまとめあげる力量はさすがシュナイトさんです。
石田さんの独奏も素晴らしい!
張り切りすぎて、シュナイトさんから音を絞れという指示が何度も出ていました。


終演後は、音楽監督お疲れ様でしたの会、が行われました。
スローテンポのマエストロをしばし待った後、乾杯・お話。
日本の湿気が多い気候は苦手とのこと。
そして、今日のプログラムは何と46年前にシュナイトさんが指揮したプログラムの再演だそうで。
解散後はシュナイトさんの周りにカメラ撮影の人だかりができてました。
これまで神奈川フィルにもたらしてくれたものを考えれば当然でしょう。

"Danke Schoen!"

ホールを出た後は、いつも通り「応援する会」へ。
素晴らしい音楽を聴いた満足感とおいしい料理に舌鼓を打ちながら時間は瞬く間に過ぎ去り、帰宅したのは終電の1本前でした。

これで神奈川フィルの1つの時代が終わってしまったわけですが、これからはどのような進化を見せてくれるのでしょうか。
4月は金聖響さんの常任就任披露公演、ごまかしのきかない「英雄」でお手並み拝見といきましょう。

久し振りのジャズライブ。NHKふれあいホールもだいぶご無沙汰してました。
今回はT-SQUAREにいたこともある久米大作さんが率いるグループでした。
「いとしのうなじ」の作曲してたんだ、へぇ~。というところで反応してしまう珍しい大学生です。
元々フュージョンの人ですが、最近は作編曲も手掛け様々な分野で活躍しているとのことです。


●メンバーと曲目
久米大作(ピアノ・キーボード)
和田アキラ(ギター)バカボン鈴木(ベース)則竹裕之(ドラムス)スティーブ・サックス(サックス・フルート)
高良久美子(パーカッション・ヴァイヴ)水谷真季(トランペット)川上鉄平(トランペット)東條あずさ(トロンボーン)佐藤桃(チューバ)会田智穂(ユーフォニウム)


さすがに総勢11人ともなると、ステージの光景が壮観。
今まで見た中で一番多いかもしれない。
これだけ多いと、演奏中どこ見てればいいか迷います。
観客席もびっしりでした。

曲は久米さんのオリジナルを始めとして、ジミヘン、ガーシュウィン、ビートルズと多彩な選曲。
「An American in Paris」みたいなポピュラーな曲でも、久米さんの手が加わると面白いアレンジに。
元々クラシックオーケストラの曲なのに、エレキギター・エレキベースの音+ヴァイヴの不思議な音で独自の世界を作り出していました。
他の曲もかなりアレンジは凝っていて、フルート&トロンボーンの二重奏とか掛け合いとか息の合った演奏でした。

メンバーではギターの和田さんとサックス&フルートのサックスさんがメロディーを引っ張ってました。
この2人がいいところをもっていくんですが、忘れてはいけないのが裏方のリズムセクション。
ベースのバカボン鈴木さんとドラムスの則竹さんの音がこの大人数のグループの屋台骨を支えてました。
後ろに引っ込んでいるので、よく見えなかったのが残念。

終わったと思ったら録音トラブルがあったそうで再収録という場面も。静電気が原因とのこと。


アレンジの面白さを味わえたライブでした。
トリオとかで個人同士のぶつかり合いも面白いですが、ビッグバンドのようなアンサンブルもまた良し。

招待券が当たったので珍しく横文字のオーケストラの演奏会へ。
そうでもなけりゃ高いので行けません。
会場は渋谷のBunkamuraホール。
小児がんのチャリティーコンサートということで募金箱が置いてありました。


●メンバーと曲目
指揮:インゴ・メッツマッハー
演奏:ベルリン・ドイツ交響楽団

バリトンソロ:マティアス・ゲルネ


ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
マーラー/亡き子をしのぶ歌
ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」


オケは意欲的な対向配置、何でも指揮者のメッツマッハーさんは現代音楽がお好きとのことで。
しかし、このホールで大編成のワーグナーはオケが窮屈そうでした。

1曲目は前奏曲なので適当に流しかと思いきやこれがなかなか。
出だしに弦がメロディーを奏でるのですが、これがまたキレイな音で。
キンキンする主張的な音ではなく、予想外に透明感のある響き。あまりないパターンのオケの音。
日本でいうと神奈フィル系ですね。というか神奈フィルでこの曲聴いてみたい。
メッツマッハーさんもも音楽監督2年目ということで、オケの音を把握しているのでしょう。
いたずらに派手にはせず、弱音を大事にしているようでした。
公演チラシによると“果てしなく深遠な響き”とのこと。
なるほど確かにという表現です。
正直ワーグナーは苦手な作曲家ですが、こんな曲も書いたんですね。

2曲目は歌もの、題名から察するように暗め。
バリトン間違いなく上手いです。そして深い。
地味な曲ですが、下手だとすぐに分かりそう。
歌詞の内容もとらえなくてはならないですし。
終わった後はブラヴォーでした。
何が得意なのかとプロフィールを見ると、近年のディスク:シューベルト「冬の旅」、納得。
しかし、予習もせずプログラムもなしで、いつ終わるか分からない曲を聴くのはきつかった…。
今後歌ものでは歌詞の概要ぐらいは予習しておこうと誓った次第です。

休憩挟んで「英雄」へ。
前半からの予想通り第2楽章の葬送行進曲がGOOD
木管もしっかりしてます。
第4楽章で抑えめだったのも一貫した方針なのでしょう。


海外でもこんなオケがあるんだなと思った演奏会でした。

今日はかなり本命の公演でした。

早めにチケットをおさえておいたからいいものの、すぐに満席になったそうで。
ミューザ川崎が満席ってそうそうないって。
シュナイトさん&神奈川フィルの知名度も上がったということでしょうか。
席のランクをいつもより1つ上げ、3F後方1列目を確保したのは正解でした。


●メンバーと曲目
指揮:ハンス=マルティン・シュナイト
演奏:神奈川フィル

ヴァイオリンソロ:石田泰尚
チェロソロ:山本裕康


ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
ブラームス/交響曲第1番


前半はいわゆるドッペルコンチェルト。
DUOヤスこと神奈川フィル首席のお二人の登場です。
神奈川フィルのファンとしてはこれだけでも必聴ものです。

出だしにいきなりチェロ独奏からスタート。
山本さん魅せますね~。
続いてヴァイオリンが旋律を奏でる。
この二人の音の響きの素晴らしさはさすがです。

コンサートで聴くのは初でしたが、面白い曲ですね。
全然演奏会で取り上げられない曲ですが、もっとやればいいのに。
元々、交響曲第5番になる予定だった曲なのですから。

掛け合いも多く、非常に合わせるのが難しそうな曲でしたが、さすがはこのメンバー。
石田&山本コンビはDVD出してるぐらいですし、指揮はシュナイトさん、演奏神奈川フィルとくれば怖いものはなし。
息ピッタリでした。
こういう風に神奈川フィル内で素晴らしいソリストを揃えられるっていいなと思います
シュナイトさんも終わった後、“Good Job!”的なしぐさをしてましたね。

アンコールでは山本さんの紹介を挟み、カザルス「鳥の歌」を。
ゲストコンマスの執行さんと1stヴァイオリンの方、ゲストチェロ首席の三宅さんが伴奏。
そして、二人がメロディーを奏でるという豪華版でした。


拍手も長く長く続き、前半だけで十分お腹いっぱいでしたが、まだまだ演目は続きます。
名演が約束されているという前評判だったブラームスの1番へ。


まずは感想を一言で言いましょう。

な・ん・だ・こ・れ・は

こんなブラ1があったのかと、感銘を受けました。


第1楽章の序奏の弦楽+ティンパニのところだけで個人的にはけっこうきてましたが、これは序の口。
第2楽章は石田さんによるコンマスソロを堪能させていただきました。
木管・金管のソロもけっこう多く、皆さん奮闘してました。

しかし、1番インパクトがあったのは第4楽章。
シュナイトワールドが大展開でした。
序奏の後の有名な第1主題、「苦悩から歓喜へ」でノリノリで行くかと思いきや違いました。
えっ? こんなにゆったり行くの?
“嬉しさ爆発”ではなく“じわじわと喜ぶ”という感じで、こんな演奏もあるのかと。
さらに凄まじかったのが、ラストのコラールのメロディー。
さすがにここは盛り上がるだろうと身構えていたら、イメージの比べ半分のテンポで来られました。
これは「歓喜」という次元を遥か超えて、それこそ天上へと導かれる様でした。
こんな演奏できる人はそうそういないでしょう。


期待に違わぬ演奏会でした。
“応援する会”のアフターコンサートもたいそう盛り上がりましたね。
次の神奈川フィルは来週の定期演奏会です。
ブルックナーの宗教曲とのことで、寝ないように予習をしておかねば。

日曜朝にやっているTV「題名のない音楽会」の公開収録が当たったので、珍しく東京オペラシティへ。
家から遠いので休みじゃないと行きにくい立地、もっと近ければいいんですが。

佐渡さんは3日前に日本に帰ってきたばかりとのこと。
ヨーロッパを忙しくあちこち飛び回っていたらしいです。


●演奏と曲目
指揮・司会:佐渡裕
演奏:東京シティフィル
解説・踊り:青島広志
踊り:村井頌子、大竹恵子
ヴォーカル:ブレンダ・ヴォーン

<第1部>欲望の音楽・ワルツの歴史
バッハ/「管弦楽組曲第2番」より第6曲 メヌエット
モーツァルト/「そりすべり」
J.シュトラウス/美しく青きドナウ
リスト/メフィスト・ワルツ第1番
ハチャトリアン/組曲「仮面舞踏会」より「ワルツ」

<第2部>新世界は旧世界?
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」より 第2楽章など


前半はワルツ特集。
ワルツの変遷の歴史をバッハからハチャトリアンまで追っていきます。
貴族的なワルツと農民的なワルツの違い、およびその合流など。
ありそうでなかなかない切り口で面白かったです。

青島さんは燕尾服で登場、踊りも披露してくれました。
本人曰く特訓したらしいとのこと。
この方の挑戦心はすごいと思います。
題名ではおなじみになってきたコスプレへの挑戦心も素晴らしい(笑)
今回はおとなしめだと佐渡さんに突っ込まれてました。

演奏は東京シティフィルでしたが、これがなかなか。
ワルツの曲想にオケの音がぴったり合ってる気がする。
特に金管が良かった。
そういや、ここは飯守さん率いるワーグナーオケでしたね、と再確認。


後半は「新世界より」特集、特に有名な第2楽章を中心に。
黒人霊歌からインスピレーションを受けたということで、実際に歌詞をつけてみた歌も。
ブレンダ・ヴォーンさんのパワフルな歌声も堪能させていただきました。


題名にしてはスムーズに収録が終了。
なかなかやる気あるプログラムでした。

syllable

Author:syllable
出身:横浜
在住:三重→兵庫→三重(現在)
クラシックを中心にジャズやJ-POPなどを聴いています。
神奈川フィルを応援してます!

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