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神奈川フィル定期256回

8月は定期がなかったので久し振りの神奈川フィル公演。
今回は名誉指揮者の現田さんの登場です。

●メンバーと曲目
指揮:現田茂夫
演奏:神奈川フィル
コンマス:石田泰尚

ピアノ:アンナ・ヴィニツカヤ


チャイコフスキー/幻想序曲「ロミオとジュリエット」
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番
ショスタコーヴィチ/交響曲第1番

アンコール:ハチャトゥリアン/「仮面舞踏会」よりノクターン

現田さんの言葉を借りると、“ロマンチック・ロシア”プログラム。
ロシア~ソ連時代の音楽の系譜を、時間の経過と共に追っていくという素晴らしいセンスの選曲です。
それぞれ初演は1870年、1901年、1926年、そしてアンコールは1941年。考え抜かれてます。

名誉指揮者になっても現田さんのプレトークは健在でした!
「ソ連時代は分かりやすく聴きやすい音楽がもてはやされたため、西欧の無調への流れも入ってこず、ロマンが守られた。」
というお話。
ソ連は芸術活動を著しく制限して停滞させたという認識なんですが、こういう見方もできるんですね。
そして、“偉大な作曲家”としてそのロマンのお手本とされたのがチャイコフスキーということで、演奏会も彼の曲から幕を開けます。
ところで、現田さんがショスタコーヴィチをライフワークにしてるって初めて知ったんですが…。定期会員4年目にして初めて知る真実。


1曲目は序曲と言いつつ20分近くある「ロメオとジュリエット」
チャイコフスキーの作るロシアロマンの世界を作り上げていました。

2曲目は知名度が高いラフマニノフのピアノ協奏曲2番。個人的には3番より2番が好きです。
ピアノはロシア人のアンナ・ヴィニツカヤさん。
現田さんをして可愛らしいと言わしめてましたが、ピアノは予想外に力強く安定感ある音でした。
エネルギッシュでドライブ感あふれる序奏部の和音連打からロマンの世界へ。

うねるような第1楽章、感傷的な第2楽章を経て、圧巻は華麗な第3楽章。
ダイナミックな演奏を展開してました。ロシア的なラフマニノフってこんな感じなのかな?
演奏が終わるやいなやホールが拍手に包まれてました。

アンコールではラフマニノフの絵画的エチュードを演奏してくれました。


休憩挟んでいよいよショスタコ1番へ。
一見混沌としているようでよく聴くと構造的に考えられている曲。スコアを見たら面白そう。
こんな曲を19歳で作ってしまったらそりゃ天才扱いでしょう。

下手すると聴きづらそうなこの曲も現田さんが振るとドラマチックな演奏に。
弦のトゥッティが下から上へグワッと高揚していき、頂点で爆発!という現田イズムなキラキラ演奏を久し振りに聴くと、現田さん神奈川フィルにお帰りなさい、という気持ちになりました。
そして確かにショスタコは現田さんに合ってる。もっとやればいいのに何で最近演奏会でやってなかったんだろう?

生で観ながら聴いていると本当にソロの見せ場が多い曲だと思いました。
まず、木管首席カルテットが大活躍。
山田さんと鈴木さんが抒情的なメロディーを奏で、斉藤さんが軽快なステップを踏み、石井さんがどっしり低音を支えるという各自の持ち味を生かした素晴らしい役割分担。
金管は知らない方々が首席に入ってましたが上手かったです。
第3楽章の“トリスタン”的メロディーのチェロ独奏、山本さんの演奏で聴いてしまうとこれ以外にないと思ってしまいました。
そして、コンマス石田さんは言うまでもなく。。
神奈川フィルメンバーそれぞれの演奏を堪能してました。

プレトークで予告していたアンコールは、ハチャトゥリアン/「仮面舞踏会」よりノクターン、ちなみにアイススケートはワルツ。
ほとんどコンマス独奏・オケ伴奏、完全に石田さんタイムが発動してました。
アンコールでこれを持ってくるのはこのコンビならではでしょう。

昔日の神奈川フィルが蘇ったような演奏会でした。
終演後はいつものように勝手に応援する会へ。
良い演奏会の後のおいしいビールでした。

さて、神奈川フィルのシーズンもそろそろ後半戦へ。
11月のトゥルノフスキーと、初めて聴く人は困惑するという12月の聖響さんの第九はおさえておきましたが、さて?
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シュナイトバッハ合唱団


神奈川フィルもお世話になっていた偉大な指揮者であられるシュナイトさんのファイナルコンサート。
今まで数々の素晴らしい演奏会を作り上げてくださいましたが、これを最後に演奏活動を引退してドイツで静養するとか。
公演プログラムに、シュナイトさんが数年前に語ったという言葉が載ってました。

「音楽活動から引退する時は、バッハに心からの感謝を捧げて「ロ短調ミサ曲」を演奏したい。その時がいつになるか、どこになるか分からない。(以下略…)」

最後にふさわしい曲だと思います。


●メンバーと曲目
指揮:ハンス=マルティン・シュナイト
演奏:シュナイト・バッハ合唱団/管弦楽団

ソプラノ:平松英子
メゾ・ソプラノ:寺谷千枝子
テノール:畑儀文
バリトン:戸山俊樹

オルガン:身崎真理子


J.S.バッハ/ロ短調ミサ曲


会場は東京オペラシティ。
チケットは当日券なしの満席! 上までびっしり埋まってました。
かなりすぐにチケットが売れたそうで、買うのが少し遅れただけで事務局のおばちゃんに「ほとんど売れちゃったよ~」と言われるようなすごい状況。
結局、場所は3階のバルコニー席に。
オケの真横なので独唱が違う方向へ飛んでってましたが、指揮台のシュナイトさんの指示・表情が良く見えたので、これはこれで良いかなと。

さて、個人的にバッハと言えば、パイプオルガンを聴いてるうちに眠っているというイメージの苦手意識がある作曲家。
ましてや今回は、全演奏時間が最低でも2時間超で全27曲からなるという長大な作品。ほっとくと間違いなくダウン確定。
そのため、今回は寝てはいけない!と奮い立ち、解説書のコピーを見ながら音源を聴いてみっちり予習しておきました。


満員の観客の拍手に迎えられ、ソリストとシュナイトさん登場。
5月の県立音楽堂では“大変なこと”になったので体調が心配でしたが、ちゃんと歩いてました。あれ?元気じゃない?
じめじめしてる日本からドイツに帰って体調が回復したようで何よりです。


さて、演奏については長いので印象が深かったところを。

第1部第1曲合唱「Kyrie eleison」
導入の一斉に合唱団が歌うところから一気にめくるめくシュナイトワールドへ。はうう~。
どっしりしたテンポにのせて、「主よ憐れみたまえ」の祈りがズーンと突き刺さります。
この重厚な響きは他では聴けないでしょう。
次に始まる対位法の掛け合いで特筆すべきは、多旋律がどんどんゴチャゴチャになってくのに歌詞がそれぞれちゃんと聴きとれること。
シュナイトさんは「言葉」が大事だ、と指導しているそうで、確かにミサ曲本来の用途としてはそれが本筋でしょう。
この遅いテンポでよく掛け合いが崩壊しないなと感心して聴いてました。

第5曲「Et in terra pax」
地上の(terra)平和(pax)を祈る歌、合唱コンクールの人気曲でも「インテラパックス」というのがありますね。
シュナイトさんが歌詞に対して一番指示を出していたように思える曲。
「pax」に関して並々ならぬこだわりがあるようで、何度も口を動かして「pax」と合唱団に言ってました。

第10曲メゾソプラノ独唱「Qui sedes」
オーボエ首席が奏でる物悲しいメロディーを、メゾソプラノの寺谷さんが繰り返します。
一度聴いたら忘れられないメロディーですね~。

第12曲合唱「Cum Sancto Spiritu」
第1部の最後の曲。合唱団・オーケストラ全員でとにかく盛り上がります。
合唱の掛け合いからオケがどんどん声量を増して華々しく締めくくる。
生演奏で圧倒され、宗教曲の持つパワーを体感しました。


ここで一旦休憩。もしかして一気に全部なのかと思ってましたが、さすがに休むようです。


第2部第17曲合唱「Crucifixus」~第18曲合唱「Et resurrexit」
キリストの受難という悲しみの前者から、復活の喜びの後者に大転換するという2曲。
猛烈に感情を歌詞に込めていて、曲の変わり目では音楽と共に劇的な効果を生み出してました。
歌詞の意味を大事にしているシュナイトさんだからこそ説得力があります。

第4部第24曲テノール独唱「Benedictus」・第26曲メゾソプラノ独唱「Agnus Dei」
ラストを控え、それぞれのソリストの大きな見せ場。
長丁場の最終場面ながら素晴らしいアリアでした。

第27曲「Dona nobis pacem」
はるばるミサ曲の世界を旅してきて、いよいよラストの曲。
第7曲とほとんど同じ旋律だそうですが、いやいや全く別物。
音楽で表現できる別世界の1つの極致へ到達してました。
シュナイトさんが何度も両手を組んで「祈り」の指示を出していたのが印象的。


そして、


残響が消えた後に広がる空白の20秒


いやもっと長かったかもしれません


永遠とも思える静寂ののち、会場は拍手に包まれました。


通算で2時間半にも及ぶ長い旅でした。
拍手もなかなか止まず、ホールを出たのは22時を回った頃。
「応援する会」の方々と足早に店を探し、閉店間際で短い時間ながら楽しい歓談の時を過ごさせていただきました。


バッハ研究家の礒山雅氏は著書で「ロマン派的なテンポが遅く旋律をたっぷり歌いあげるバッハがもてはやされているが、それはリズムを生命力とする本来のバッハではない。古楽器を利用してバッハが生きていた当時の演奏を再現する視点も大事である。」というような趣旨を述べています。
この言葉については全くその通りだと思います。
しかし、今回のような演奏を聴くと「別にロマン派的でいいじゃないか」と言う人が多いというのが良く分かりました。


シュナイトさん。今まで数々の素晴らしいコンサートありがとうございました。

再びNHKへ。
昨日はNHKホールでしたが、今日は隣のふれあいホールでジャズです。


●今日のメンバー
竹内直(テナーサックス)、清水絵理子(ピアノ)、井上陽介(ベース)、江藤良人(ドラムス)


リーダーの竹内さんがテナーサックスをとにかく吹いて吹いて吹きまくるライブでした。
他のメンバーも巻き込んで会場のボルテージを上げていく様は、山下洋輔さんの演奏を彷彿とさせます。
実際に山下さんともけっこう共演しているようで、確かに気が合いそうだな、と。
しかし、終始テナーサックスというのはけっこう珍しい気がします。
アルトサックスやフルートと持ち替える人が多いような。

バリバリ吹く竹内さんに対抗して、江藤さんもドラムをガンガン。
ピアノの“えりっちょ”こと清水さんがバランスをとっているようで、アドリブもアレンジャーっぽい。
元々クラシックやってたそうですし。
ベースの井上さんは今回は引っ込み気味だったのが残念です。 

曲は派手なのもバラードも、はたまた「こきりこ節」までバラエティ豊かでした。


ミラノスカラ座のアイーダと言えば、コンサートで配られるチラシを見て、
「学生席でも8000円だって、ふーん。最高は67000円、金はあるとこにはあるんだね」
としか見てなかった縁がない世界。

そんなオペラのゲネプロ(最終稽古)を若者に公開しよう!というイベントに抽選で当たったのでNHKホールへと行ってきました。

これが本番とほとんど変わらないクオリティ!! 舞台も写真の通りの光景がドーンと目の前に!

アイーダ1
アイーダ2
アイーダ3
アイーダ4


↑こんなの(宣伝HPより)

行って良かった!


●メンバーと曲目
指揮:ダニエル・バレンボイム
演奏:ミラノスカラ座管弦楽団
(ソリスト、合唱団、バレエ団以下略)


ヴェルディ/アイーダ(全4幕)


若者以外にも入場枠があったようで観客は2Fが大まかに埋まるくらいでした。
そのため、ホール前にダフ屋さんもいらっしゃいました。確かに買う人いるでしょうね。
ゲネプロだというのに、ちゃっかり公演の冊子(3000円)を発売してて、しかもけっこう売れてました。
まあ、普通にオペラを観ることを考えれば、はした金なのでしょう。

若者は2Fの左側に固められ、座ったのはたぶん上から2番目のランクにあたるけっこういい場所。
舞台もよく見えました。NHKホールでオケがピットに入ってるのも初めて見る光景。
バレンボイムは頭しか見えませんでしたが。

ゲネプロは16時スタートで、ほとんど中断なく本番通りに進行。
違うのは本番に備えて歌手が声を抑えめ(特にソプラノの方)なのと、指揮者のツッコミが入るところ。
バレンボイムってかなり声が通るんですね、かなり距離があったのによく声が聴こえました。
字幕はちゃんと出てたので、筋を追うのに支障なし。


休憩含めて全部で4時間弱、スカラ座のアイーダを堪能、あっという間でした。


特に、第二幕の「凱旋行進」のシーン、あれを見ただけでも来たかいがありました!
NHKホールにしか入らなかったというほどの豪華絢爛な舞台!
いつまで湧いてくるんだという人人人! ゆうに100人はいるでしょ。
そして、あの有名なメロディーの合唱と演奏を聴かされたらもう…。

なるほど、世界一と呼ばれるほどのことはありますね。オケも長丁場なのにずっと上手いし。

クラシックにはまだまだ知らない世界があるんだなと改めて感じました。

syllable

Author:syllable
出身:横浜
在住:三重→兵庫→三重(現在)
クラシックを中心にジャズやJ-POPなどを聴いています。
神奈川フィルを応援してます!

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